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    11月の特選奄美俳句5選No.14/2016.11

    • 2017.01.09 Monday
    • 08:48

    2015年10月から始めている「今月の奄美俳句特選5句」の14回目です。
    奄美で発行されている日刊紙・南海日日新聞の文芸欄「なんかい文芸」に掲載された11月30日から12月02日までの四つの俳句グループから出された作品から五句をえらんでいます。深まる秋が詠いこまれています。(ルビは新聞掲載時の表記に従っています)

     

    01.小さな手夕日に染まる草紅葉        向井エツ子

     

    02.曙夢の忌や曙夢が遊びし浜の蟹   緑沢克彦

     

    03.世之主忌六百年の城の跡          中山好風

     

    04.冬めくや海鳴り響き風白し       白粉花

     

    05.圧政さえ耐え来し島ぞ野菊咲く     西のり子

     

    --------------------------------------------------------------------

    〈評〉

    01/「草紅葉」とは美麗な表現。一面の草原が紅葉しているさまは都会に住んでいるとなかなかお目にかかれない。紅葉は見上げる樹木ばかりではなく、視線をおとして地上からも秋の色彩のメッセージを読み取ることができるということ。「草紅葉」といえば「草迷宮」を想起する。泉鏡花原作で寺山修司かせ映画化したあの作品である。一見総覧しやすくみえる草々の世界ではあるが、変容(紅葉)したり、立ち入れば混迷が待ち受ける(迷宮)の世界だったりする。

     

    02/奄美の知的先達として深く記憶に刻まれている昇曙夢(1878-1958)。ロシア文学者としてばかりではなく、奄美の復帰運動においてその精神的支柱を担ったひとりとして、いまでも奄美のひとに敬愛されている。今月は曙夢の命日(11月22日)にあたるため、「曙夢忌」の季語が使われた作句が掲載されていた。引用句のほかにも〈曙夢の忌や小島の沖を巨船ゆく 作田セツヨ〉〈「日本復帰」知らぬ子多し曙夢忌かな 中吉頼子〉〈曙夢の忌や望郷の海青く澄み 吉玉道子〉などの句も佳い。

     

    03/島に刻まれた歴史は永く記憶される。ちょうど六百年前に、沖永良部島を統治していたとされる「世之主」のことを詠んだ句。北山王国の王子として島で生まれ育ち島の統治者となった。今年1月、世之主神社(和泊町)を訪れた時、かつて鬱蒼と茂っていた樹木がとりはらわれていた。記念式典をするために整地されたのだが、そこに顕れたのは、堅牢な琉球式城郭であった。ここで世之主は北山王国の領主として島を統治していたのだが、悲劇が訪れる。沖縄本島を統一した中山の軍船が和睦のために島に向かったところ、そのメッセージがうまく伝わらず、世之主は自害してしまった。その悲劇ゆえにこそ、島の人たちにいつまでも記憶されているのであろう。それにしても六百年前の歴史を今ごとにように顕彰する営為は驚嘆すべきである。沖永良部島ならではの句をもうひとつ。〈車座の一重一瓶豊の秋 福山史乃〉

     

    04/冬に近づくと、奄美の海はどのように様相をかえていくのだろう。わたしの実家は神戸市垂水区の塩屋という場所で、海沿いの町だっので、一年中海を感じながら生きていた。とりわけわたしは冬の海を愛した。潮目がかわる場所ごとに海の色がことなり、多彩な色調の変化を見せてくれる。ただ国道と鉄路が海と住宅街の間を走っているので、海の音は聴こえない。海と遮蔽するものがない場所ではきっと海鳴りが直截に響き、季節の移ろいを感受するのだろう。〈新北風や島を吹き抜け海へ果つ 窪田セツ〉も奄美ならではの季節感が出ている。

     

    05/島(奄美)の歴史は、苦しみ、悲しさの記憶を、ひとびとの心のなかに、深くたくわえることによって、伝えてきた。そのひとびとの過去(歴史)への思いは、言葉・記録による伝承ではなく、心から心へと伝承していくので、しっかりと伝わっていく。島の歴史は学校空間で学ぶ機会はほとんどなく、シマンチュの身体に刻まれた記憶がたいせつな媒介となるのである。圧政の歴史は決して忘れられることはないだろう。島がそこにあり、島にひとびとが生きている限りは。この句、野菊を詠んだことで、ひとびと=民の心情をよく代弁している。

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