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    17.02月の特選奄美俳句5選No.17/2017.02

    • 2017.02.28 Tuesday
    • 09:25

    2015年10月から始めている「今月の奄美俳句特選5句」の17回目です。

    奄美で発行されている日刊紙・南海日日新聞の文芸欄「なんかい文芸」に掲載された2月22日から2月24日までの四つの俳句グループから出された作品から五句をえらんでいます。(ルビは新聞掲載時の表記に従っています)

     

     

     

    01. 時雨(しぐぐる)や灰(かい)白色の名瀬港  寿山悦子

     

    02. 島裏の海鳴りひびく大寒波           石原兼

     

    03. 甘蔗の花ハーベストに呑まれゆく          窪田セツ

     

    04. 水ゆるむ阿・吽(うん)で遊び学び哉    奥直哉

     

    05. 冬うらら彼方横当島の見ゆ               紅ベンケイ 

     

    --------------------------------------------------------------------

    〈評〉

    01/色彩を全面に出した作品。朦とした一日。細かい雨がふって見える景色がモノトーンになっている。それを「灰白色」と表現する。たくみである。そしてこの句には場所が詠まれている。湾として地形的に完結している名瀬港。全体がモノトーンで物憂げな気象で占められている。〈荒(すさ)ぶ風真夜に目覚めて冴返る 榊原矩明〉もまた自分を取り巻く自然や環境と自ら(作句しようとしている主体)が溶け合った作品。

     

    02/「島裏」という表現が、島に生きるシマンチュにとって実感を伴い、リアリティがある。さほど大きくない島(例えば与路島)には人が住む集落がある場所ではなく、山を超えた裏港とよばれる緊急時の港湾施設があることがある。そこは見えないが、島に生きるひとにとっては、常に感じる場所なのである。その島裏の海が鳴りひびいているという。想像力を喚起させ、詩情を感じさせる作品である。寒さがまだ残るこの二月。〈緋寒桜一重一瓶携えて 當光二〉 奄美に咲くサクラは真冬の花。花見をするには寒すぎるのかもしれない。緋寒桜の花は桃の花のように色が濃い。

     

     

    03/甘蔗、つまりサトウキビのこと。1月末から3月にかけて奄美はキビ刈りのシーズンになる。かつて近世の薩摩藩統治時代は、甘藷を刈り取って絞り、砂糖(さた)小屋にこもり砂糖にして樽詰めするまでがシマンチュに課せられた仕事であった。いまは製糖工場に刈り取った甘藷を持ち込むだけの原材料提供のみとなっている。ハーベストというのはキビ刈り専用機で、この機械が導入されることで随分と労働が楽になった。甘藷は天を裂くようにまっすぐに伸びる植物である。その花ごと機械に吸い込まれてゆく姿を描いている。キビ刈りが終わると季節がぐんと進む。ほかに農作業が詠まれている句に〈春寒や暴風ネット作物(つくね)守る 山すみれ〉。この季節、徳之島と沖永良部島で馬鈴薯を風から守るネットが張られる(特に沖永良部島のネットは数も多く几帳面に張ってある)。自然と農を詠み込むのも俳句という文芸の面白さである。

     

    04/三月の奄美は一足飛びに暖かい気候になる。「水ぬるむ」は春の季語。そのゆるやかな語感と共に詠われているのは、子どもたちの姿。「阿・吽の呼吸」が通じる慣れ親しんでいる仲間が遊んで学んでいる光景が目に入っている。それをゆるやかに眺めている作者。子どもたちの親ならその学びも遊びも見守りと監視の対象となろうが、その子たちが孫の世代なら緩やかな視線になるのかもしれない。「春」が詠われた句に〈廃校の賑はひし頃の春の夢 坂江直子〉がある。抒情と追憶の香り。

     

    05/「横当島」は奄美大島の北西60kmの距離にある無人島。大島郡ではなく十島村に属している(戦前は大島郡に属していた)。晴れた日は大島から見える。冬は空気が澄んで視界が良好になる日があるからだろう。この島に上陸するのには準備が必要で、めったに行けるものではない。かすかに見える島を眺めながら、海向こうの〈彼方〉の存在を確かめることによって、日常の中にある〈彼方〉が表出されていく。そんな効果を産み出すのが、見えたり見えなかったりする島なのだろう。

     

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