17.01月の特選奄美俳句5選No.16/2017.01

  • 2017.01.31 Tuesday
  • 09:51

2015年10月から始めている「今月の奄美俳句特選5句」の18回目です。

奄美で発行されている日刊紙・南海日日新聞の文芸欄「なんかい文芸」に掲載された1月25日から1月27日までの四つの俳句グループから出された作品から五句をえらんでいます。(ルビは新聞掲載時の表記に従っています)

 

 

 

01. ガジュマルの木の間つたひの初茜       碩よしえ

 

02. そそけ立つ枯れ松の骨山眠る         恵ひろと

 

03. 彼方此方の山肌染めし寒緋桜               森美佐子

 

04. 今宵またしずかに残り屠蘇を呑む       奥直哉

 

05. ライト浴び横切るウサギ急停車            花すずき  

 

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〈評〉

01/年があらたまって俳句の世界では、新年を詠む季節となった。歳時記でも「新年」の項を独立させて編集している。奄美の風景をつくっている代表的な樹木のひとつがガジュマル(榕樹)。その圧倒的な存在感は、島に生きる奄美のひとたちの根太さをそのまま表象しているかのようだ。初茜とは「元日の朝の茜空。明けきらないのであたりはまだ薄暗いさま」。ガジュマルの葉づたいに朝の陽光が差し込んでくる。島ならではの新年の光景である。こうした島の光景のなかから新年を見つけ出す感性がいい。あと新年を詠った作品に〈万象(ばんしょう)の光り満ちたる大旦(おおあした) 榊原矩明〉〈三味の音に趣味の島唄去年今年 むねの花〉〈正装して唄ふ民謡淑気満つ 島袋京子〉

 

02/かつてに比べるといくぶん収まったと島の人はいうが、島の山あいを車で移動していると、やはり目にとまってしまうのが、リュウキュウマツの枯れた姿。山頂ふきんの松が被害にあっていると、胸がすくむ思いがする。「そそけ立つ」という表現にリアリティを感じる。「山眠る」は冬山を擬人化した季語。奄美の山や杜は常緑樹で構成されているために、本土の冬山のように落葉樹の裸木はみあたらない。その代わりといっては妙だが、松枯れの木(ずっと落葉している)が、冬山の様相を際立たせているとも見ることができる。

 

03/「彼方此方」という表現が、おもしろい。具体的にどこを指しているというわけでもなく、「だいたいこのあたり」という日常生活の中で計測する場所感が反映されている。「寒緋桜」は奄美に咲くサクラ。花の見頃は一月から二月という真冬の季節なので、本土のような花見の習慣は、奄美には根付いていない。つまりサクラの樹下でシートを敷いて花見の宴をはるには寒すぎる季節ということである。それでも寒緋桜が山肌を染める景色は心を和ませるものだ。寒緋桜=緋寒桜の句をもうふたつ。〈緋寒桜謳う桜に散る桜 當光二〉〈緋寒桜余生といわず今日を生く 窪田セツ〉

 

04/閑かに詠われ、閑かに鑑賞したい句である。正月というハレの時空で、家族・親族が集まってにぎやかに過ごす。そんなときだからこそ、家の中の緩と慢の区切りがはっきりする。ふと訪れた閑かな一瞬。そういえば屠蘇が残っていた。屠蘇は正月を正月らしくさせる道具立てのひとつ。それをしみじみ飲んでいる。心は満悦していることだろう。

 

05/奄美の新聞(南海日日新聞)を読んでいると、奄美大島・徳之島の固有種であるアマミノクロウサギが、車に轢かれて死んでいるさまが報道されている。奄美の車道を走ってるとすぐ気づくのは、奄美の鳥たちが突然とびだしてきて、車の前を勢いよく横切るその姿である。まるで車など眼中にないかのような動態である。アマミノクロウサギが車に轢かれるのは夜中なのだろうか。奄美のひとたちはこの生き物が奄美の固有種であることを熟知しているし、大切にも思っているので故意に轢くことはないだろう。この句の作者はアマミノクロウサギが横切ってくれただけで轢くことはなかったようだが、誰しも経験しそうな場面を巧みに句に昇華させている。

 

さらに今月は、すべてシマグチを使った短歌作品を一首紹介しておこう。〈天気ぬイッチャ(良い天気)ウムンクサシイ(里芋の草取り)ウキャウキャシュリ(心がうきうきする)ムカデもウキャウキャ?ハグエーウッブティタ(あら・びっくりした)柳原陽子 〉

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  • 2017.05.10 Wednesday
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